2012年7月27日金曜日

映画「サン・ジャックへの道」


 今回は、私の好きな映画「サン・ジャックへの道」を紹介します。
 気に入っている理由はいろいろありますが、その一つは、映画の内容がブッククラブ(あるいは、作家クラブ)をしているのと似ていると思うから、です。

 たまたま一人のリーダーの元に8人のメンバーが数十日間、フランスのル・ピュイから、ピネレー山脈を越えて、スペイン北部を横断し、サンティアゴ・デ・コンポステーラに到着する物語です(サンティアゴはスペイン語、サン・ジャックはフランス語で同じ場所のことです)。なんと、1495キロ!!(1日平均30キロとして、50日かかります。)★

 サンティアゴ・デ・コンポステーラに到着するのは、1冊の本を読み上げること。
 出発地点から到着地点のたくさんの出来事は、本にまつわる話し合い。
 出発前に集合するまでは、各メンバーが引きずっている人生そのもの、事前の読みに相当するのかな?
 道中の「ブッククラブ」は、全員で行われることもありますが、ほとんどはペア読書ないしグループ読書の形で行われます。それも、1回や2回ではなく、時間的な余裕はいっぱいあるので(50日間!)、繰り返し繰り返し行われます。

そして、最終地点は、サンティアゴ・デ・コンポステーラのカテドラル(大聖堂)ではなく、フィニステレ(「地の果て」という意味)の大西洋に面した浜辺だったのですが、リーダーを含めて参加者全員が出発した時とは見事なぐらいに変わっていたのです。

ブッククラブ(や作家クラブ)も、こうありたいな~、と。
 ぜひ、ご覧ください。


なんといっても、千年以上の歴史をもつ巡礼路ですから、それ自体が「選りぬかれた本」という感じです。通過する町々や景色や巡礼者を支援する人々が物語のハイライトになっています。

★★英語圏では(もちろん日本語圏でも)見られない、フランス語圏のユーモアを随所に見られることも、この映画をお薦めする大きな理由の一つです。

★★★最近、フランス・スペインの国境付近からの同じルート(この場合は、約800キロ)を名優マーティン・シーンが歩く映画「星の旅人たち」(原題 The Way)も見ました。「サン・ジャックへの道」でも「星の旅人たち」でも言えることは、同伴者こそがすべて、ということです。ブッククラブや作家クラブも、同じです。


★★★★自分で歩いた人の記録:
http://takesitamura.cocolog-nifty.com/blog/cat15593952/index.html

2012年7月20日金曜日

(自分の作品を)友達と共有する

WWでは、ピア・カンファランスや共有の時間を通して、自分の作品を友達に読ん
でもらう(あるいは自分が読み上げて、聞いてもらう)ということは、よく行われて
います。 

 もちろん、大切なことは、友達に自分の作品を共有すること「も」、楽しみにでき
る、いい学びの時間にすることです。

 『作家の時間』((プロジェクト・ワークショップ編、新評論、2008年)には、 友達の書いているものに「質問やコメントをする」一つのいい方法として、「大切な友達」が紹介されています。その手順は以下です(69ページ)。

①わからないことをはっきりさせるための質問をする。
②よい点の指摘をする。
③改善のための質問をする。
④ラブレター(好意的で建設的なメッセージ)を書く。

 『作家の時間』の70-73ページには、この方法を子どもたちがピア・カンファラン
スで使えるように教える方法が詳しく書かれていますので、ぜひ、一度お試しください。

*****

 「大切な友達」のバリエーションの一つとして、次のような方法もあります。これ
はRWの研修会に出席していたときに、教えてもらいました。そのときの方法は以下
です。これも、もちろん、WWやRWや、それ以外の学びにも使えます。

①ある人が発表したあとに、参加者に小さな紙が配られ、そこに参加者が質問(あるいはコ
メント)を書く。
②その紙を集めて、発表者に渡す。
③発表者はその紙から、自分でどの質問(コメント)に答えるのかを選び、自分で選
んだいくつかの質問(コメント)に答える。

 講演などの質疑応答の時間に、「こんなつまらない質問で時間を取らないで」と思
うこともありますし、質問者の自説を延々を聞かされて嫌になることもあります。

 しかし、上の方法ですと、発表者が限定された数の質問(あるいはコメント)選ぶ
ので、「発表者(が答えること)」が中心になります。

 RWでもWWでも、クラスのみんなに何かの成果を発表するときには、上の方法を
使ってみるのもいいかもしれません。「大切な友達」よりも短時間で導入できます
し、「いい質問とは?」ということをあらかじめ教えていれば、「いい質問をしよ
う」という練習にもなります。

*****

 共有の時間については、『ライティング・ワークショップ』(ラルフ・フレッチ
ャー、ジョアン・ポータルピ著、新評論、2007年)では、いくつかの方法が紹介され
ています。

 例えば、WW初日の作家の椅子に座った子どもに対して、次のような質問を子ども
たちに投げかけてみます。

● 今読み上げられた文章から、どういうことを学びましたか?
● 上手な点はどこですか?
● これを書いた人に、何か聞いてみたいことはありませんか?

 また、少数の子どもにみんなの前で読み上げてもらう代わりに、クラスの子どもた
ち全員に、自分の書いた一文を読み上げてもらう(お気に入りでも、書き出しの文で
も)という方法もあります(60ページ)。

 子どもたちの年齢が上がってくると、みんなの前で発表したがらないという問題も
起こりうるので、その場合は、ペアやグループでの共有という方法があることも紹介
されています(147ページ)。

*****

 リア・マーメルスタイン氏は、共有についての本★のなかで、共有について、いろいろな点から詳しく述べています。
 その中には、ペアや小グループでの共有の時間の方法も含まれていて、ペアでの共有のいい点としては、以下を指摘しています。

1.クラス全体での共有の時間に、先生が全体を教えていたからできたことが、今度
は先生の助けなしに、自分たちでやってみることができる。
2.クラス全体の共有には、なかなか貢献できない静かな子どもも貢献できる。
3.自分の書いたものに読者がいる。
4.クラス全体の共有の時間には参加していない子もいる(例えば、その場にはいる
が、他のことを考えていたり)が、ペアの場合は一人ひとりの子どもがより大きな
責任をもっているので、参加していない、という部分が減る。

(★ Leah Mermelstein, Don't Forget to Share, Heinemann, 2007. 84-86ページ
に、ペアで共有することのいい点が詳しく述べられています)。 

 夏休みになって、今学期の授業を振り返るときに、子どもたちが自分の作品をどのように共有していたかにも、目を向けて、そして、いい方法があればぜひ「共有」」してください。

2012年7月13日金曜日

レイ・ブラッドベリとリーディング・プロジェクト



 ここ3回は、連続してレイ・ブラッドベリについてのRWWW便りでした。この3回を読んで、私はレイ・ブラッドベリの本を読み始めています。

 それだけではなくて、「レイ・ブラッドベリ2」に書かれていたことのおかげで、リーディング・プロジェクトについても二つのことを考えました。

 リーディング・プロジェクトについては、『リーディング・ワークショップ』(ルーシー・カルキンズ著、新評論、2010年)の12章(208−215ページ)に説明されています。わずか8ページの短い章ですが、とてもいい章です。

 先生たちが冗談めかして、リーディング・プロジェクトを「本を読むことを土台にした生活を築く学習」と呼んでいる(209ページ)とも書かれています。

 ではレイ・ブラッドベリから、リーディング・プロジェクトについて考えた二つのことを、以下に短く書きます。

(1)リーディング・ワークショップの成否は、好き嫌い


ブラッドベリ・ 小学校から高校までの時代にも図書館には行っていた。夏には昼間ずっと入り浸っていた。よく雑誌を勝手に持ち出して、読んで、また勝手に棚へ戻した。・・・学校へ行くよりはるかにおもしろいさ。自分で読みたいもののリストを作って、誰に何を言われるのでもないんだ。うちの子どもたちが宿題として読まされる本を見ていると、こんなことで成績をつけられるのか、そういう本が好きじゃない子はどうなるんだ、なんてね。
パリス・レヴュー・ それが大事だということですすね。自分の好き嫌いで決めてよい。
ブラッドベリ・ そうだよ、それがすべて。★

 リーディング・プロジェクトの成否に大きく関わるのは、まさに「自分の好き嫌い」という気がします。


 『リーディング・ワークショップ』には以下のような文もあります。

 「リーディング・プロジェクトを、子どもたちの情熱や望みをうまく引き出す機会にしましょう。自分で選んだ秀逸なサイエンス・フィクション作家による素晴らしい作品からその世界を探求すること、教師から与えられた本、あるいは一定の難易度の本ならどれでもいいので読むことを考えてみてください。この違いは歴然としています。
 リーディング・プロジェクトの利点は他にもあります。自分の興味に基づいているので、子どもたちの多様性が見えてきます。いったんリーディング・プロジェクトを実施してみると、その前はみんながほとんど同じものを読んでいたように感じるくらいです」(212ページ)

(2)リーディング・プロジェクトから生活の一部(習慣)に

 「一晩に一篇のエッセイを読むことを千夜続ける。また、一晩一篇の詩を千夜。一晩一篇のストーリーを千夜。そうすれば千夜で三千のメタフォーが頭の中にある」★★
 
 これもRWWW便り「レイ・ブラッドベリ2」で紹介された言葉です。

 「一晩に一篇のエッセイ、一晩一篇の詩を千夜、一晩一篇のストーリーを千夜」となれば、もうこれは生活の一部だと思います。これが千夜で終わったとは思えないので。

 もし、夏休みに、上の縮小版(例えば、一晩一篇の詩 × 40日)をリーディング・プロジェクトとして取り組み、それが気に入れば、そのうちに、そのリーディング・プロジェクトは生活の中の織り込まれていくことと思います。

 リーディング・プロジェクト=「本を読むことを土台にした生活を築く学習」というのは、本をよむことを土台にした生活づくりの「きっかけ」でもあるからだと思います。


*****

『ブラッドベリ、自作を語る』 368ページ
★★ 『ブラッドベリ、自作を語る』 285ページ

2012年7月6日金曜日

本物に浸る


 「本物」のパワーは、すごいです。
 「ようこそ先輩」や「オーサー・ビジット」が好まれるはずです。

 しかし、なかなか有名人をクラスに招くのは大変です。

 そこで、まずは身近にいる作家、詩人、俳人、大学教授(だいたいは論文を書いている)、ジャーナリストなどを地域の図書館や役所の文化担当などに聞いて教えてもらい、教室に来てもらうのです。近場の人なら、ボランティアのお母さんたちと同じ感じで来てくれるかもしれません。しかも、有名人の「ようこそ先輩」や「オーサー・ビジット」と違って、繰り返し来てくれる可能性すら高いです。

 本物の人が得られない場合のセカンド・ベストは何でしょうか?★
 その人の動画と本をセットにしたものは、どうでしょうか?
 単に本だけよりは、いいのではないでしょうか?

 私たちは、言葉や、野球やサッカーや、碁や将棋や、料理や裁縫など、ほとんどのものを身につけるときにすることは、その中に「浸る」ことです。しかも、自分が真似したいと思えるものの中に。
 読み・書きを含めて、学校の教科指導の中でまさに欠けているものが、この真似したくなるものに「浸る」という行為です。従って、身につきません。(暗記して、テストの後には忘れる、という悲しいパターンを続けています。)

 教科書が「本物」の代用になるかというと、残念ながら無理です。「偽物」ですから。
 本物が容易に使える場合は、そちらを使うべきです。それだけで、まったく効果が違いますから。
 たとえば、小学校の2年生★★の「スイーミー」を教科書を使って学ぶのと、実際に絵本の『スイーミー』を読む場合のインパクトの違いを考えてみてください。絵本なら、レオ・レオーニの他のたくさんの絵本も一緒に子どもたちに見せて、浸ってもらえます。(しかし、少なくとも私には教科書に「浸る」という感覚はイメージできません。)

 レオ・レオーニについては、他にいろいろ探してみるといいかもしれません。
 日本語ではなかなかいい情報が見つかりませんでしたが◆、英語ではレオーニの略歴が紹介されているサイトもありました彼をインタビューした動画もあります。(英語ですが、わずか1分20秒ですし★★★、わかりやすい言葉を使っているので、小学生相手でも十分に使えると思います。ちなみに、本人が一番好きな動物=絵本は何だと思いますか?)

もちろん、答えを見せてしまう前に、子どもたちに「浸って」もらって、自分たちが選ぶレオ・レオーニのベスト5を選ぶほうがいいと思います。(たとえば、各自がベスト3を出し合って、それを集計する形で。)そんなことができたら、他のクラスや保護者たちにも、レオ・レオーニの作品に「浸って」もらえるチャンスを提供することになるでしょう。
 そこまでいったら、間違いなくレオ・レオーニのスタイルで作品を書く子がたくさん表れることも請けあいます。

 ぜひ、「本物に浸る」形で、読み・書きに取り組んでください。


★ 極めて個人的な体験ですが、私にとっては「本物」であるはずの当人よりも、その人が書いた本のほうがはるかにおもしろかった体験があります。著名な日本の中世史家の場合です。何冊か読んでいたので、講演会を楽しみにしていたのですが、退屈で聞いていられませんでした。人によっては、本だけにしておいたほうが、いいイメージが壊れなくていいという場合もあるということです。その意味では、誰かを教室に招く際には、事前に会って、(子どもを対象に)それなりに面白い話をしてくれるのかどうかは確認した方がいいということです。

★★ 小学校高学年~高校だったら、たとえば星野道夫のたくさんの本に浸ることができます。星野さんの場合も、動機づけに動画を探してもいいかもしれませんが、彼の本には動画で見られるすべてが含まれています。いい写真です。



★★★ この短さが大事です。映像を長く見せるのは、教育の観点からは効果的とは言えませんから。

● レイ・ブラッドベリのサイトで、彼の動画も見られます。

2012年7月4日水曜日

レイ・ブラッドベリ 3


『ブラッドベリ、自作を語る』の続きです。

●作家の役割=書く目的は?
ウェラー・ 作家としてご自分の役割をどうお考えですか? 娯楽を提供するのか、精神を啓発するのか、教訓をあたえるのか。
ブラッドベリ・ 全部だろうね。それから、人が前へ進むように手助けをする。どうにか読者の心をつかんだとして、その心に湧いたものが表面まで浮いてきて、その人が次の日もしっかり生きられて、前の日よりよくなる、というように手を貸すのが僕の仕事。このところ何年か、あれこれのストーリーを書きながら、ずっと生きてるかぎり人を幸せにしていたいという気持ちが強くなった。だからファンタジーはすばらしいんだ。現実ばかりじゃ気が滅入るだろ。ひどい気分で何もできなくなる。(288)

●下書き(初稿)から最終稿へ
ウェラー・ 書いたばかりの第一稿は、潜在意識がページに語りかけているようなものだ、ということを持論にしていらっしゃいますね。推敲の段階というのは、それを知覚化しているものだと思ってよいのでしょうか?
ブラッドベリ・ もちろん。それから見直してカットする。短篇は長すぎることが多い。『何かが道をやってくる』を書いたとき、あれは長篇だけれども、全部で15万語になっていた。見直していって、5万語はカットしたね。自分で自分の邪魔をしてはいけない。燃えやすいものは片づけておくんだ。ガラクタと言おうかな。ちゃんと片付けて、すっきりさせる。
 初稿は、まずタイプで原稿を打つ。これは早い。がんがん打ちまくる。自分の足を引っ張らない。それから何日か後で、そっくり打ち直す。このときに潜在意識が新しい言葉をくれる。まだまだ何度か打ち直さないと仕上がらないが、ほとんど直さなくていいときもある。(290)

●筋書きを考えてから書くの?
ウェラー・ ストーリーは、まず全体を考えるというか、大体の筋書きを決めるのですか?
ブラッドベリ・ いやあ、全然。そんなことできない。あすという日や、来年や、十年後にどうなるか、そんな筋書きを決められないのと同じだ。初めから本の筋書きを決めたら、エネルギーもバイタリティーもなくなっちゃう。血が通わなくなるよ。来る日も来る日も、その本の世界を生きて、キャラクターたちを泳がせてやらないと。(293)

<ちょっと作家の話とはズレますが、大切なオマケです>
●長続きする結婚の秘訣は?
ウェラー・ 結婚が長続きする秘訣は何ですか? (ブラッドベリは奥さんのマギーさんと彼女が亡くなるまでの56年間いっしょだった。)
ブラッドベリ・ 結婚なんていうのは、ユーモアがなかったら成り立たないものだよ。愛とは、ちょっとしたことにでも、こりゃしまったと思う繰り返しで、そうと口に出すことじゃないか。よく失敗するよ。たとえば電球が切れたままだとか、買って帰るのを忘れたとか。それで「ごめん」なんて言うだろ。つまり、悪かったと認めること、何よりもユーモアのセンスがあること ~ 何があっても、どこか憎めないところがあるように ~ というのがよき結婚生活の秘密だね。(324)★

★ この結婚生活の秘訣は、他にもいろいろ応用できそうな気がします。長い教員生活を勤め上げる秘訣としても。

2012年7月2日月曜日

レイ・ブラッドベリ 2


『ブラッドベリ、自作を語る』の続きです。この本は、ブラッドベリ研究者のサム・ウェラーが亡くなる前の作家をインタビューする形式を取っています。(数字は、ページ数)

●2人作家クラブ
ウェラー・ 作家修業の上で、最も重要な役割を演じてくれたと言ってもいいリイ・ブラケットについてお願いします。
ブラッドベリ・ 日曜日ごとにヴェニス(ロスアンジェルス郊外)であって、僕のへたなストーリーを読んでもらって、彼女のうまいストーリーを読ませてもらった。(283)

●書く題材はどこから?
ウェラー・ もし若い作家にアドバイスするとしたら、オリジナルの人物やストーリーを思いつくために、どんなことをしたらよいとお考えでしょうか?
ブラッドベリ・ アンテナを張りめぐらすんだね。とにかく読みなさい、というのが処方箋だ。一晩に一篇のエッセイを読むことを千夜続ける。また、一晩一篇の詩を千夜。一晩一篇のストーリーを千夜。そうすれば千夜で三千のメタフォーが頭の中にある。それがアンテナになる。それだけアイディアがつかまえやすくなる。そうやって出てくるもんなんだ。まず自分の人生があって、自分に取り込んだメタフォーが加わって、栄養たっぷりのミックスが頭の中にできあがる。そういうことをしなかったら、頭の中に何がある? もともとの経験しかないじゃないか。それじゃ足りない。実体験を持ってなんかいられないさ。自分で作る気にならないと。
ウェラー・ いまの処方箋ですが ~千の詩、千のエッセイ、千のストーリーという、それだけあればアイディアが湧いて出るようになりますか?
ブラッドベリ・ 保証はしないよ。かならず火花が散るとはかぎらない。頭の中にたまったガラクタに反応していく能力を、僕は神様にもらったと思ってる。ただ、いろんなものを貯め込んで、おもしろがっていなさい、ということだけは人に向かっても言える。(285)
◆ ちなみに、ブラッドベリは高校卒業後27歳までの約10年間、ロスアンジェルスのダウンタウンの中央図書館で週に2,3回、夜に行っていたそうです。「図書館さえあれば、それだけで教育になる」と言い切っています。★


★ ブラッドベリ・ 小学校から高校までの時代にも図書館には行っていた。夏には昼間ずっと入り浸っていた。よく雑誌を勝手に持ち出して、読んで、また勝手に棚へ戻した。・・・学校へ行くよりはるかにおもしろいさ。自分で読みたいもののリストを作って、誰に何を言われるのでもないんだ。うちの子どもたちが宿題として読まされる本を見ていると、こんなことで成績をつけられるのか、そういう本が好きじゃない子はどうなるんだ、なんてね。
パリス・レヴュー・ それが大事だということですね。自分の好き嫌いで決めてよい。
ブラッドベリ・ そうだよ、それがすべて。(368)