2013年4月29日月曜日

読書ノート 5


エイミー・バックナーさんの読書ノートに関するすばらしい本からのメモが続いています。
  
●付箋と考えた印
 読み手が付箋を利用するのをブレストで出してもらう
 ~ 4年生なのに、すでにほとんど大人と同じ回答ができる。すばらしい
  要するには、そのとき考えていることを書き出している。考えている証拠。
  それの使い道?
  読書ノートに貼ればいい。考えた記録として残る。
33 でも、全部残したところで、残念ながら価値はない。そこで、毎週貼り出したものを見直して、自分で価値が高いと思うもののみを残す。あとは、リサイクルするなり捨てる。

36 3つの分ける案が提案されている。
 1)捨てる、2)はっきりしない←一時的に保管しておく何かがある?、3)価値がある→読書ノートに貼り付ける

 以上の方法を使って、読書ノートは自分たちのもの、自分たちが考えるところ、成長するところであることを理解してもらう。自立した読み手/考え手/学び手になるための有効な手段を身につけてもらうための練習をし続けているということ。私には、評価と成績のためのたくさんの情報を提供してくれる。親にも。 みんなをつなぐ橋の役割を果たすことになる。

2013年4月26日金曜日

読書ノート 4

 連載の4回目です。

21 
●読み続けるのはどうして? どうして読み続けられる?
 =自分にぴったりあった本の探し方
 これに関して、子どもたちがしていることを探る
              ・何をすることで、その本が自分にあっているのかを教える
              ・自分が好きな作家やジャンルの見つけ方
いい本が手元にないと読み続けることはできないから、これには時間とエネルギーをかける。
 それでも、頻繁に読んでいる本を変える子はいる。
 本がおもしろくなくなる/よくわからなくなる理由は?
              ・登場人物のことがよくわからなくなる(誰が誰なのか、etc.
              ・文章の構成等がわかりにくい
              ・背景や語り手が変わって、わかりにくくなる
                                          Cris Tovani, 2003, p.52

22 最後までちゃんと読みきる習慣をつける (もちろん、おもしろくない本を途中でやめる判断も大切だが)

23 
● 手にした本を読み続けるのはどうしてか教えてくれる?
  何人かに言わせてから(言えない子たちのためのヒントになるから)、読書ノートに書いてもらう。
 毎日家で20分は読むのを義務化している!!
~25 実際に子どもたちが書いた見本
26 この質問も、繰り返すと(年度途中と最後)、答えが違ってくる。特に、効果的な読み方を身につけると。

●読み手としての自分の歴史は、自分の読みの教え方に影響を及ぼしている
27 自分はまったく読まなかった。読まなくても、勉強はできた。本を読む優先順位は一番最後だった。 ← どこかの誰かさんと同じ! 勉強ができたというところは違うが。
 初任者のときに、隣のクラスを見てビックリ。たくさんの本があった。家に帰って、母親に自分のために買ってくれた屋根裏部屋にある本を全部出してもらったら、いいのがたくさんあった。自分は読まなかったので、覚えていなかっただけ。 ← ちなみに、彼女の母親も小学校の教師をしていた。
 「読むのが習慣」にして、学年末に送り出してあげる!!

目的: 読み手としての自分の歴史を書いてもらう
方法: 自分の読み手としての歴史と、現在の読みの習慣をモデルとして子どもたちに示す。それから、読書ノートに書いてもらい、ペアで共有しあってもらう。
応用: これこそ年度内に何回かやるべき。異なる色で書くとわかりやすい。まさに自己評価になる。自分の成長に気づける。

●読むことについて考える
 読んでいるということは、考えていること
 読んでいるものを楽しんでいるということは、考えているから楽しいということ。

28 RW中のカンファランスで、読んでいるのを途中でやめさせるのはかわいそうなので、「いいところまできたら止まってね」と言って、しばらく待つことにしている。

 デイヴィッドとのカンファランスを、「考え聞かせ」★★を入れながら紹介してくれているので、とてもわかりやすい。そして、短いやりとりの中で考えたことの一つは次の機会にまわして、もう一つに焦点を当てて話し始めたことも、とてもいい。より優先順位が高いと判断したもの。
 カンファランス(やりとり)をしても、らちがあかなかったので、「読みながら考えていたことを書き出してみて」と提案する。自分も、書き出すことによって、「はっきりすることがあるから」と付け加えて。

30 本を読んでいないときに、本について考えることがあるかどうかを聞いてみた
31 考えていることを書き出すことが楽しくなる。また、書くことで考えることにも気づける。よりcritical readerになるためには、書くという行為が不可欠。

★ 効果的な読み方については、『「読む力」はこうしてつける』を参照してください。

★★ 読む力を本当につけたいのであれば、「読み聞かせ」よりも、こちらの方が効果的かもしれません。 これについても、上記の本で詳しく紹介しています。(特に、159~161ページを参照。)

2013年4月23日火曜日

読書ノート 3


 この部分は、すでに3月29日に紹介したことと重複するので、ブログのみの掲載にします。(希望者には、メルマガとして配信されていますので、右の「質問を送る」を使ってご希望ください。)

第2章 生徒たちを読み手としてよく理解する
13 たくさんの情報が使われることなく、埋もれている。たとえば、私は8回ものアンケートをとっていたが、有効に使われることがなかった!
14 アンケートよりも、読書ノートに書いてもらうほうが、生徒たちをよりよく(深く)知ることができる。彼らのことばで知る必要がある(これは、作家ノートを通じて学んだこと!)
 Strategies(「方法」、以下●で表わす) と書く時間の2つが、それを可能にしてくれる

 作家ノートを紹介するのと同じ形で、読書ノートを始める。
     まず何よりも、自分が使いたいように使っていいこと。教師の役割は、サポートすること。子どもたち一人ひとりが自分にとってのベストを見出す。書き出しの文を提示して、残りを書かせる方法(=質問を提示して、書かせる方法)はそれを可能にしてくれない。本書で紹介する「方法」が可能にしてくれる。対象が何であっても。
     前半ないし最初の3分の1は、ガイドする。要するに、選択肢が最初から生徒に与えられるわけではない。モデルを示して、練習することから。それで、選択肢が増えたら、あとは自分たちで自立的に進めていくアプローチ。
     そうすると、週に1~2回は読書ノートで反応を書いて提出するようになる。この方法は、一人読み、ペア読み、グループ読み等、何にでも使えるので、とても使い勝手がいい。そして、読んでいる本が何であろうと、誰であろうと使える。つまり、個々の生徒に応じた教え方/学び方が実現する。
     作家ノートと同じように、どの子も読書ノートで光れるようになる。自分の読みを示せる場が提供される。必要なだけ読むスピードを落として、考える時間を提供する場が。読むスピードが早い子たち(たくさんの本をドンドン読む子たち)に、考える時間を提供するのも読書ノート。読み直すチャンスも提供する媒体。読むのが苦手な子たちにとっても、このノートがあることで効果的な読み方を意識することができ、読み手としての自分を成長させる。

17 
●自分にとって、読むことについて間違っていないこと=正しいことを書き出す
たとえば、・いい本はくりかえし読むのがいい
              ・絵本は幼児のためものじゃない!
                   ・短い章は、ありがたい!
・お気に入りの作家を持つのはいいこと

18~20 それの4~5人分が紹介されているが、アンケートの何倍もの情報量があり、「読み手」としての一人ひとりがよくわかる。みんな個性を持っていることが明らか。
 何よりも大切なことを、本を教えるのではなく、読み手たちを教えることを再確認させてくれる。
 これは年度当初だけでなく、何回か振り返ったり、修正してもらうと、とても効果的。自分の変化や成長がよくわかるから。

この手法の応用として、テーマを以下のようなものにしてできる。
              ・登場人物について知っていること
              ・ジャンルについて知っていること
              ・お気に入りの作家について
              ・文章の書き出しについて
              ・文章の終わり方について
    などなど

2013年4月21日日曜日

読書ノート 2


10 WWRWでのノートの使い方の比較

  ← この表で、イメージつかめますか? 疑問や質問は、右側の「質問を送る」からどうぞ。

11 「読書ノート」が読むことと書くことを結び付けてくれる「橋」 ← これが、本のタイトル

2013年4月19日金曜日

読書ノート 1

 前回の提案、教師も作家ノートや読書ノートをつけてみては、を受けて読書ノートでいい本を読んだので、連載で紹介します(とても、この内容を一回にまとめるのは不可能なので)。書いた人は、数年前に作家ノートの使い方でとてもいい本を出しているAimee Bucknerという人。本のタイトルは、Notebook Connections。数字は、ページ数です。(斜字は、私のコメントです。)
 なお、週に1回ずつでは、長くかかりすぎるので、週に何回が書き込みますが、受け取るサイドの都合を考えて、メルマガでは配信しないものもあり得ますので、たまにはブログを覗いてみてください。


第1章 読み、書き、そして希望をつかむ
4 ①よく読むには、たくさんのスキルが必要
  ②集中して読む時間が必要 (話す、書く時間も含まれる)
  ③形式化してしまったら、意味のあることは書かなくなる

5 何はできていないかよりも、何ができるかに焦点を当てるべき
  テストでは測れないものがあまりにもたくさんありすぎる ~ あるいは、教科書をカバーすることでは・・・・

  生涯にわたって読み続ける、書き続ける子どもたちを育てることが目的 = 自立した読み手と書き手

  作家ノートは、とても効果的。書くことを考える人を、考える書き手に変換する。 ← これ、いいですね。
  読むことでも、同じことができないか?
  子どもたちが作家ノートに価値があると思えるようになるのと同じレベルで、読書ノートを位置づけられないか? それは、誰かのために書くのではなく。自分のために書くようになること。考えるのを助けるために書くこと。

  著者が影響を受けた本:
  ①Strategies That Work★1の読むことを教える分野での影響力の大きさ
  ②Katie Wood RayWondrous WordsStudy Drivenは、作家のように読むことを教えてくれた。いい文章をモデルにして、自分の書く文章に磨きを書ける方法を提供してくれた。
  ③JoAnn Portapuli & Ralph Fretcher★2も同じ。いつも、教師用のWWを提供し続けてくれている。

  こうした貴重な情報はキルトのバラバラの布のよう。他にも、いろいろある。★3それらをうまく結びつける糸が必要なのだが、うまく見出せていない。私は、それが「ノート」だと思う!!!

  それは、私がNotebook Know-How←これが、作家ノートをWWでどう使うかを自分の実践を交えて書いた本で紹介したreading版と位置づけられる。

8 リーディング・ワークショップに関するいい本としては、
     Guiding Readers and Writers: Grades 3~6
     The Art of Teaching Reading★4
     Strategies That Work をはじめ、すでにたくさん出ている。

 読書ノートは、生徒たちが自分の考えを育てることができるスペース/ところ。
 読んだものに対する反応を残すことができるところ。
 (読書感想文みたいに?)再話するところじゃない!
 書くこととの関係も説明する。たくさん書いたり、たくさん読んだりしたら、両者の関係が深いことは明らか。読むことと書くことのつながりは、読んだことについて深く、かつ広がりを持って書けるようになると同時に、読み手に対して目的を持って書けるようになる。 これを読書ノートで達成しようということ。

 そして、読書ノートをどう評価に活用するかも紹介します。
9 もちろん、読書ノートが唯一の評価の対象になるわけではありませんが、極めて有効な情報を提供してくれることは確かです。

  ルイス・ローゼンブラット★5が言ったように、一人ひとりの解釈は異なる。
  それを踏まえた形での評価が求められている。

 と、まだ第1章の途中です。長く続く予感がします。


★1 私も、『「読む力」はこうしてつける』(新評論)を書くときに参考にしました。でも、すべての出発点になっていたのは、Mosaic of Thoughtという本です。

★2 この翻訳が、『ライティング・ワークショップ』(新評論)です。ラルフ・フレッチャーは、自身が児童文学の作家であることもあって、子ども用に『作家ノート(A Writer’s Notebook)』というタイトルのかなり売れている本も出しています。

★3 著者のAimeeさんは小学校の先生なので、中・高・大の本は含まれていないようです(というか、頭にないようです。)いいのは結構ありますが、量的にはやはり小学校に、かないません。時間の確保とコミュニティづくりの難しさに加えて、従来式の教え方に引っ張られる部分があると思います。

★4 この翻訳が、『リーディング・ワークショップ』(新評論)です。

★5 彼女のことについては、『「読む力」はこうしてつける』のパート1・第3章で詳しく紹介してあります。

2013年4月12日金曜日

いちばん効果的な教え方は?


 あなたは、どんな教え方が最も効果的だと思いますか?

 ライティング・ワークショップ(WW)やリーディング・ワークショップ(RW)では、どんな方法が使われていると思いますか?


 ミニ・レッスンでは、最低限、教えるべきことは教えます。必要以上の時間を子どもたちから奪ってしまわないように、注意して。

 WWRWの核は、なんといっても、子どもたちが「ひたすら書く」と「ひたすら読む」ですから、その間に教師がしていること、つまりカンファランスが教え方の核にもなっています。
 この教え方をこれまでに体験したことのある方は少ないでしょうから、慣れないうちはどうしたらいいのか戸惑いますが、慣れてくると、これほど楽しいことはないと思います。子どもたちと、子どもたちが興味・関心があることについて話ができるのですから。子どもたちのことを理解しながら、いちばん必要性が高いと判断したことをピンポイントで教えられるようになるのですから。
 もちろん、この時間に、教師は直接かかわりませんが、子どもたち同士の教え合いもあちこちで行われます。ひょっとしたら、教師から直接に教えられるよりも、効果的な場合が多々あるかもしれません。
 カンファランスの効果は、これだけではありません。カンファランスがミニ・レッスンや共有の時間に何をしたらいいのかも教えてくれます。要するに、教え方を常に修正・改善しながら進められる方法なわけです。それなりの計画はあらかじめ教師が立てますが、それに固執しすぎないようにしてくれるのがWWRWの教え方の大きな特徴です。(別な言葉でいうと、教える/学ぶ内容を教師と子どもたちがいっしょに作り出している、ということだと思います。)

 共有(振り返り)の時間も、しっかり教える時間になっています。この時に、ミニ・レッスンで教えたことを再び強調することもあるでしょうし、カンファランスで他の子たちにも知ってほしいことにスポットを当てる場合もあるでしょうし、共有や振り返りから子どもたちが学びとることや確認したり、修正したりすることも、少なくないと思います。

 WWRWでは、ちゃんと教えるべきことを教えているのですか? と疑問に思う人は少なくありません。従来の一斉授業の形で教える時間は、大幅に少なくなりますから(従来の5分の1?)。でも、他のより効果的な方法で、子どもたちがより身につく形で教えているのです。

 さて、ここまでですでに十分かとも思いますが、まだ触れていない(最も?)効果的な教え方が一つあります。

 何だと思いますか?


 <メルマガからの続き>



 それは、モデルで示す、という方法です。★

 ここでいう「モデル」とは、教師が子どもたちよりは「ちょっと先をいっている先輩」としてのモデルを意識的に示すことを指しています。自他共に認める「すぐれた書き手」や「読み手」のレベルで示す必要はありません。あくまで「ちょっと先をいっている先輩」です。
 そのためには、ぜひ作家ノートや読書ノートをつけてみてください。(それぐらいは、書いたり、読んでみたりすることを意味するわけです。)
 そうすることによって、WWRWの実践も変わり始めますから。(それらを子どもたちにモデルとして見せると、子どもたちのやる気はがぜん喚起されます。)

 要するには、教師も含めた「書き手のコミュニティ」「読み手のコミュニティ」を作るということです。「教師は言うだけでやらないんだけど、僕たちはやらされてる!」のではなく。教師がしっかりコミュニティのメンバーになっているというか、リーダーとして存在することを意味します。子どもたちにとっては、「ああなりたい」「あんなことしてみたい」という対象です。


★ 人類の歴史がはじまって以来、これこそがもっとも効果的な教え方というか学び方であり続けているように思います。それが、「あまり」というか「ほとんど」というか、学校の中で大切にされていないのが残念です。もっと、もっと多用しないといけないんじゃないかと思います。興味のある方は、学校を持たない人々がどのように学んでいたのかを探ってみてください。たとえば、・・・


2013年4月5日金曜日

「週1時間」問題


 新年度のはじまりです。
 皆さんも、新しい生徒たちとの出会いにワクワクしているでしょうか。

 すでに、WWないしRWの年間計画は立てられましたか?
 年間計画は、しっかり子どもたちに「自立した書き手」や「自立した読み手」になってもらうために不可欠です。
 ただ、作家のサイクルや読書のサイクルを回したり、ミニ・レッスン~ひたすら書く/読む+カンファランス~共有の時間を繰り返せば、いいわけではありません。(もちろん、それも大切ではありますが。)

 WWRWのアプローチには賛成なので、できるだけやりたいが、こなさないといけない教科書/カリキュラムがあるので、どうしても週1時間以上の時間は確保できない、という人は少なくありません。

 では、それでWWRWの実践をしていると言えるか、というと残念ながら、言えません。WWないしRWもどきをしているとしか。
 理由は単純です。
 WWRWは、本当の作家や読書家になりきる体験を通して学ぶアプローチです。
 しかし、週に1時間では、それが多くの子たちにとって、難しいからです。
 翌週までの間が空きすぎるからです。
 作家や読書家になりきるとは、授業時間以外にどれだけ書いたり、読んだりすることができるのかが問われること意味します。本物の作家や読書家は、時間があれば常に書き、読み、そして考え続けていますから。週1時間で確保できる授業以外の時間と、週3時間で確保できる時間には、あまりにも大きな差があるのです。★

 WWRWをやり始めたアメリカの人たちは、「週3時間確保できないなら、やらない方がいいです」と言い切っています。

 しかし、日本の状況を踏まえて妥協しても、最低でも週2時間(小学校の低学年は3時間)は不可欠です。

 「WWないしRW をしています」のレベルで取り組むか、「WWないしRWもどきをしています」のレベルでがまんするかは、皆さんの判断です。
 前者への移行がなかなかできない方は、相談に乗りますので、連絡をください(右上の「質問を送る」で)。


★単に、3倍ではありません。ひょっとしたら3乗に近いかと思われます。もちろん、2時間の場合も、です。