2017年9月22日金曜日

ブックトークが一番! ~生徒が選んだ、本に夢中になるのに役立つこと~



 本に夢中になるのに役立つことを生徒に尋ねたところ、生徒がベストに選んだのは、その教室(中学校です)で年間250~300冊行われるという、生徒と教師によるブックトークだったそうです。★

 (ちょっと意外だったのは、役立つこととして生徒が選んだベスト10を見ていると、9位は「読んだことについて先生と個人的に話すこと」、10位は「毎日自宅で少なくとも30分読むという宿題」です。どちらもかなり役立ちそうな気がしますが、生徒の意識ではブックトークの方が、だんぜん、威力があるようです。)


 一見、簡単なブックトーク。必要なものは本だけ。教師も一人ひとりの生徒の顔を思い浮かべながらブックトークの本を選びますし、生徒もブックトークをします。


 この教室のブックトークでは、大好きな本について、主人公とその主人公が直面している問題、本のジャンル、テーマ、なぜ好きなのか、そして自分が本を10段階評価したときの点数等について、簡潔に語ります。聞いている人が読みたい気持ちになれるように、語りすぎないようにし、クラスに、すでにその本を読んでいる子どもがいれば、そこに一言付け加えてもらうこともあります。この教室のブックトークはそんな感じです。

  この教室で行われているブックトークについて他にも少し紹介します。

 1)ブックトークは先着順: ブックトークをしたい生徒は、インデックスカードに自分の名前を書いて、本にはさみ、その本を棚の決められた位置におく。リーディング・ワークショップの最初に、先生は、そこから最初に置かれた2,3冊を取り、インデックスカードを見て、ブックトークをする人を呼ぶ。
2)読みたい人が複数でるときは公平に順番を決める: ブックトークのあとは、その本を読みたい人がたくさん出てくることもある。そのときには、その本を読みたい生徒に挙手をさせ、ブックトークをした人が心のなかで決めた数字をあててもらう。一番近い数字を言った人が本を取り、他の人は自分の「読みたい本リスト」に書名を記載しておく。

 3)先生がブックトークをするときには、いろいろな理由で本を選び、一度に複数冊を語ることが多い。

 4)先生が、まだ読んでいない本について、なぜその本を購入することにしたのかを語り、裏表紙等に書いている説明や引用などを読み上げ、誰か最初にこの本にトライしたい人がいないどうか尋ねることもある。

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上記の教室、そしてそこで行われているブックトークについては、Nancie Atwell & Anne Atwell Merkel著 The Reading Zone (second edition), Scholastic, 200917ページ、4042ページに詳しく説明されています。

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【おまけ】
  上記のように、紹介された本に希望者が殺到することもあるぐらい、パワフルなブックトーク。でも、私自身は「うまくいっていない」ブックトークも少なからず経験しました。

 その筆頭は「ひたすら、延々とあらすじを語ることに終始する」です。聞いているほうもつまらなくなりますし、読む前に話がどう終わるのかわかると、読む気も失せてしまいます。

  今、思うと、あらすじを丁寧に語るのは、教師に対して「ちゃんと読んできました」という証明だったのかも、と思います。

  対処療法的に「いいブックトーク」と「悪いブックトーク」の条件を出してみたり、「あらすじと書評の違い」をやってみたり、ブックトークの時間を制限してみたりしました。
 それはそれで、効果はあるものの、今、思うと、ブックトークの「量」が完全に足りていなかったことが、一番大きな問題という気がします。(ブックトークが機能している、上記の教室は年間250~300冊。。。)
 今回、上の本を読みながら、改めて思ったのは、ブックトークを「たまに行われる、やらされることにしない」でした。

 たまに行われることであれば、練習量も、いいブックトークに触れる量も足りません。
 やらされることになると、「先生が求める、上手なブックトークの条件を満たすもの」を行うみたいになり、ブックトーク自体が目標になってしまうかもしれません。そういえば、上の教室ではブックトークの出来に点数をつけることはしない、とも書かれていました。

 また、生徒にいいブックトークや悪いブックトークの条件を考えてもらうのもいいかもしれませんが、まずはいい見本をたくさん、ということで、教師が毎回、複数冊を上手にブックトークして、これでRWを軌道に乗せたほうが早いように思っています。

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