2017年11月17日金曜日

新刊『「学びの責任」は誰にあるのか』


読み書きを教える際のとても効果的な教え方として「自然学習モデル」とともに、この「責任の移行モデル」が『「読む力」はこうしてつける』の64~68ページに紹介されています。
そこに紹介したときから、これら両方はたったの2ページずつではなく、1冊の本として紹介したいと思っていましたが、「責任の移行モデル」の方を実現させました。(「自然学習モデル」は、残念ながらマダです!)
 紹介したかった理由は、これら両方とも、読み書きを効果的に教えるためのモデルとして開発されましたが、内容や対象に関係なく使えるモデルだからです。(2年ぐらい前には、大人にすら効果的であることを発見しました。)

 新刊のタイトルは、『「学びの責任」は誰にあるのか ~ 「責任の移行モデル」で授業が変わる』(ダグラス・フィッシャー&ナンシー・フレイ著、新評論)です。

 「責任の移行」を図化すると、以下(図5-1)のようになります。

出典:『「読む力」はこうしてつける』の67ページ

 これを意識して授業をデザインするのと、しないのでは、まったく違った結果が出るのは想像できると思います。子どもたちへの責任の移行がなされないと、残るものはいたって少ないか、皆無ということすら起こり得ます。(満足したのは、教師のみ、というのではあまりにも悲しすぎます!)

 『「学びの責任」は誰にあるのか』では、上の図を、さらに分かりやすいように図1-1のように描いてくれています。

これらの4段階を読みの指導に当てはめて考えてみましょう。どのような方法が、リーディング・ワークショップで取られているかというと、以下のようになります。(上=①から下=④に移行するにしたがって、教師の役割/責任は低下し、逆に、生徒の役割/責任は上昇します。(書く指導についても、同じような方法を右側に書くことができます。)

教師の責任
①焦点を絞った指導  「私がします」       ~読み聞かせ、考え聞かせなど
 教師がガイドする指導「私たちはします」     ~ガイド読み
協働学習      「あなた方は協力してします」~ペア読書、ブッククラブ
④個別学習          「あなたが一人でします」  ~一人読み
生徒の責任

注意していただきたいのは、これらは①から④と順番に行うのでも、常にクラス全員を対象に同じ段階の活動をさせるのでもありません。たとえば、②番目の「教師がガイドする指導」をするためには、「①焦点を絞った指導」が終わっていることが前提となります。と同時に、クラスの大半の生徒が「③協働学習」か「④個別学習」に取り組んでいることも前提となります。そうでないと、教師は少人数(二~六人)の生徒たちを集めて、一〇~一五分の「教師がガイドする指導」を行うことはできませんから。

 また、4つの段階を必要に応じて、行ったり来たりすることがとても大切です。みんなが同じスピードで、同じように学べるわけではないからです。教師は、これら4つをうまく使いこなすことで、生徒の学びを最大限にすることができるのです。★

 本には、国語で使える事例だけでなく、他教科でも使える事例がたくさん紹介されています。(第2章~第5章は、上記の4つのそれぞれの段階について詳しく紹介されています。)なので、国語だけでなく、他教科でもぜひ、この4段階を使いこなしてください。そうすることで、教師主導の「授業」=教師が教え込むことから脱却し、子ども主体の「学び」が可能になりますから、生徒の学びの「質」「量」共に飛躍的に伸びることは間違いありません。

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★ これを可能にするのが、指導の間を通して行われる「形成的評価」です。この評価を行うことで、どの生徒(たち)が何を、どのように必要としているのかを把握することができ、①~④の適切な選択を可能にしてくれます。評価をしないと、生徒たちのニーズに関係なく、教師があらかじめ考えたシナリオで生徒たちにやらせる選択肢しかないことを意味します。(『「読む力」はこうしてつける』の64ページで強調されているように、やる必要のないことを、生徒にやらせることこそ無駄なことはありません。教師は、それぞれの生徒にとって何が必要なのかを見誤らないことが大切です。)

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