2018年4月13日金曜日

多様な振り返り/共有の仕方のバリエーション



 ライティング・ワークショップ(WW)の振り返り/共有の時間は、毎時間のサイクルの中で欠かせません。①ミニ・レッスンと②ひたすら書く/カンファランスの後には、必ずやります。★ 理由は、生徒たちにやる気、刺激、学びを注入する時間だからです。そのためには、いつも同じ方法(たとえば、作家の椅子)だけでするのではなく、多様な方法でした方が、エネルギーのレベルは上がります。

定番は、何と言っても「作家の椅子」です。自分の作品を読んだ後に、クラスメイトから質問やいい点の指摘を受けます。多くの子どもたちは、この椅子に座って、自分の作品を発表し、ファンレターをもらうのを楽しみにします。発表はしなくても、クラスメイトの作品を聞いたり、それに対する質問や指摘から多くのことが学べたりする、とてもいい方法です。子どもたちが慣れてきたら、小グループをつくって、グループ毎に作家の椅子を行うことも考えられます(教師がすべてに目を光らせている必要はありません。)

パートナーとの振り返り/共有。時間が短い時は、特に効果的です。「何でもいいから振り返って共有しましょう」とするよりも、「今日、書き直しや書き出しで工夫したこと」などテーマを限定した方が、焦点が絞れていいです。テーマは、教室の状態などを踏まえて、基本的には何でもOKです(というか、タイミングを見計らって適切なのを選びましょう!)

学んだことの共有。子どもたちに今日学んだことを共有してもらうことで、同じ時間を過ごしていたにもかかわらず、多様なことを学んでいたことがわかる。たとえば、作品の終わり方について、タイトルのつけ方について、詩の行の換え方について、インパクトのある動詞の選び方についてなど、たくさん上がるはずです。これらの多くが「作家の技」なのですが、教師がそれらを教えるよりも、すでに教室の中にそれらを使っている/使いこなしているエキスパートがいることが分かるので、今後は相互に教え合うことも可能になります。

以下の2つは、『ライティング・ワークショップ』の日本での実践である『作家の時間』の中で紹介してある事例です(83ページ)。

公開カンファランス。教師が一人の子に対して行うカンファランスを、他の子どもたち全員が丸くなって観察します。カンファランスを受ける子どもがたくさんのことを学べるのはもちろんですが、他の子どもたちも、作品はドンドンよくすることができること、質問の仕方、共有の時間の新たな可能性を知るきっかけになります。

一人一文紹介。子どもたち全員が一文ずつ紹介するという方法です。たとえば、ミニ・レッスンで「効果的な書き出しとは」を扱ったので、カンファランス中に書き出しを修正している子どもがたくさんいることに気づきました。そこで、共有の時間のテーマを「書き出し」にしました。でも、一人か二人の書き出しだけをその後の文章と一緒に紹介してもらうよりは、文脈はわからなくとも、全員の書き出しを紹介してもらうことで、可能性はいろいろあることを知ってもらえます! これをする時は、サークルになってテンポよく行うのがいいでしょう。

ハイタッチをしながら共有。これは動きを伴った共有の時間になります。内容的にすることは、②や③と同じです。誰かと共有し合ったら、今度は次の人とハイタッチをして共有し合います。できるだけ短い時間に、たくさんの人と共有し合うのがポイントです。まさに、活性化して授業を追われます。

写真や動画で共有。スマホやタブレットの普及で、ひたすら書く時間に起こったことを簡単に撮れてしまう時代です。それを、教室内や教室外(特に、保護者や学校の先生や他教室の友だち)でも共有できてしまいます。既に存在するICTを使いこなす判断をするか否か、それが問題です。
なお、この方法は、形成的評価の手段としても効果的です。デジタル・ポートフォリオに収納することも容易ですし。

互いのいい点を書く! 自分以外の名前が書かれた紙を全員に配り、それに、自分が書き手としてもっとも自慢できることを書いてもらいます。それにかかる時間は2~3分です。書き終わったら、それを名前の人に渡して、授業は終わりです。これによって、互いの得意なことが分かり、相互に教え合える関係もできます。と同時に、教師が後で集めると、クラス全員の形成的評価の情報の一つにも位置づけられます。

あなたは、どんな振り返り/共有の方法を考え出して、実践していますか? ぜひ教えてください。


★ これ3つが、密接に絡み合っていい授業をつくり出していることが、『作家の時間』の第1章「ミニ・レッスン」、第2章「書く時間とカンファランス」、第3章「共有の時間」のあとの、85~88ページで解説されています。


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